2019-09-14
雨などで濡れた革を手入れしてみよう。

新しいスタッフ、若いスタッフも増えて、製品知識や革のお手入れだったり、浸透しきれていないことも沢山あるので時々勉強会を開いて再確認をしいますが、その中で「濡れた革ってどうしたらいいんですか?」という質問。 TAVARATには染料染めの製品も多いですし、ベルトなどは雨に濡れる機会も多く、「シミができた」とお声を頂くこともございますので簡単にではございますが対策をお話させて頂きます。 参考までに顔料で仕上げた革は濡れてもさっと拭いておけばシミになることはほとんどありません。今回のお話は染料で仕上げた革についてです。 (※ただしコードバンやエキゾチックレザー、オイルの多い革など、特殊な革は専用の対策が必要なので当てはまりません。)



こちらは当店のTps-001ベルト、レッドです。使用している革は姫路ピットタンニンレザー。タンニンでなめし、染料で仕上げた革で透明感のある色合いが魅力ですが、水に濡れて放置するとこういったシミができたりします。こちらはちょっと極端なものですが。
では実際に急な雨などで濡れたときにはどうしたらいいのでしょう?

「いっそ全部濡らしてしまえ!」

一瞬「ん!?」と思われた方もいるかもしれません。水に弱いと言われる本革を全部濡らしてしまう?そんなことして大丈夫か?
僕もそう思っていました。初めて全部を濡らしたときは相当に勇気を振り絞ったことを覚えています。
ではまず濡れた状態から確認していきましょう。


霧吹きで2吹きほどした状態です。これだけでもなかなか恐ろしい状況ですが、さて、ここからどうなっていくでしょう?このまま放置すると、水の染み込み具合によってところどころに色の違う部分がでてきます。

この色の染み込み具合の差で、乾いたときに境目ができてしまう可能性があります。そこで、「いっそ全部濡らしてしまえ!」の精神で勇気を振り絞って濡らしていきます。綿100のウエスやハンカチなどを濡らし、優しく全体を濡らしていきます。

このとき、水分を広げている時は意外と均一になりませんが、無理にゴシゴシしなくても大丈夫です。しばらくすると浸透して全体に均一に染み込んでいきます。

こんな感じに全体が馴染んできました。元々色ムラのある革なのと、1年くらい使いこんである革なので傷やエイジングの違いによるムラ感はありますが、水染みになりそうな班模様は見当たりません。この状態で自然乾燥させます。日の当たらない場所で、1時間もすれば乾いていくと思います。

水分が染み込んで色濃くなった感じが抜けて、元の色合いに戻ってきました。写真だとわかりにくいかもしれませんね。光の当たり具合もあるのでもう一枚。


こんな感じになります。元とまったく同じ色・・かというと、経験上は少し濃くなるのかなと感じています。日焼けによるエイジングがほとんどですが、雨の手入れを繰り返しているとそれによって色濃くなる感じもします。それと、全体を濡らして乾かしたあとは少し乾燥した感じがあるので(お風呂上りしばらくすると乾燥を感じるのと同じでしょうか、違うでしょうか)、できれば最後にメンテナンスクリーム等を塗ってあげると完璧かなと思います。



TAVARATではナチュラル成分のレザートリートメントを取り扱いしています。
ラナパー レザートリートメント 100ml お手入れ用品 Renapur



いかがでしょうか。いっそ濡らしてしまえということで実際にやってみましたが、このように無事雨染みを回避することができました。では雨染みができてしまったらどうしよう?という点について、これに関しては「使い続けてください」とお話します。色の差はエイジングが深まればその差が殆どなくなり、綺麗な色ムラとなってそのデザインを形成していきます。ですので手入れが面倒な場合は長く使って頂いて味を出していただくということでもOKなのです。それが染料染め本革の良さでもありますので。 最初にもお伝えしましたが、革によっては同じ方法では難しい場合もあります。当店で扱う革以外は実験もできませんので、今回使用しました姫路ピットタンニンレザー(下記参照)ではこんな方法があります・・ということを免責だけさせてくださいませ。
→革製品に使用する革について